一般的に、自分の意思で会社を辞めた場合には自己都合退職の扱いになるため、会社都合とは異なりすぐには失業保険がもらえないと考えがちですが、実際にはそうでないケースもあります。今回は自分の意思で退職してもすぐに失業保険がもらえるケースをご紹介します。

給付制限期間が発生しない4つのケース

自己都合退職の場合、原則としては3ヶ月の給付制限期間が設けられ、受給手続きをしてもすぐには失業保険がもらえません。しかし以下のようなケースでは、自分の意思で退職したとしても会社都合と同じようにすぐに失業保険がもらえる可能性があります。

賃金が円滑に支払われなかった場合

会社の倒産やリストラでなくても、以下のようなケース等であれば「会社の責により離職した」と見なされます。このように認められた場合は、一般的な自己都合退職とは異なり給付制限期間がありません。

・退職金を除いて、賃金額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が
連続して2ヶ月以上あった場合、又は離職の直前6ヶ月の間に3ヶ月あったことにより離職した場合
・ 賃金がそれまで支払われていた賃金に比べて85%未満に低下したか、することになり離職した場合(ただしその事実が予見できなかった場合に限る)

残業時間が一定ラインを超えた場合

残業時間があまりにも多く、生活や健康に害を生じるため離職したと認められた場合も給付制限期間は発生しません。具体的には以下のケースが該当します。

・離職の直前6ヶ月間のうちに3ヶ月連続して45 時間を超える残業
・離職の直前1ヶ月で100 時間を超える残業
・離職の直前2~6ヶ月平均で月80 時間を超える残業

または、事業主が行政機関から労働環境を是正するよう指導されたにもかかわらず、必要な措置を取らなかったため離職した場合も給付制限期間は発生しません。

やむをえない理由で自己都合退職した場合

会社に責がなくても、正当な理由で自己都合退職したと認められた場合には制限給付期間が免除されます。以下のようなケースが該当します。

・体力の不足や怪我、疾患、心身の障害などで離職した場合
・妊娠、出産、育児などにより離職し、受給期間延長措置を受けた場合
・父母の怪我や疾患などで扶養するために離職した場合
・家族と別居することが困難のため離職した場合
・結婚に伴う住所の変更、交通機関の路線変更や廃止などにより通勤が困難になった場合

公共職業訓練を受けた場合

今までに挙げたケースは離職上の理由にまつわるものでしたが、正当な理由のない完全な自己都合の離職でも給付制限期間が免除されるケースがあります。失業保険を受給している求職者を対象に実施している公共職業訓練というものがあり、これを給付制限期間内に受けると給付制限期間が免除されるのです。テキスト代などの実費以外は無料なので、低コストでスキルアップするチャンスでもあります。